《風の又三郎がいたカッパ淵》

《風の又三郎がいたカッパ淵》

【どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう】
(宮沢賢治『風の又三郎』より)
カッパ淵に到着した途端の事。
宮沢賢治の風の又三郎の冒頭を彷彿とさせるような強い風が吹き、溶けることの無い粉雪が横なぐりに舞うカッパ淵。
耳を切るような冷たい風が吹き付ける。
静かで厳しく幻想的な空間。
その後の伝承園では曲り家の茅葺き屋根が薄化粧。
モノクロームの風景に熟れた柿が色を添える。
中へ入り赤々と燃える炭の炬燵のヘリに足を置きながら聞く遠野物語。
遠野物語でも特に哀しい話、オシラサマを祀る部屋の怖さと神聖さ。
伝承園を後にすると、いつの間にか日が照りあっという間に雪は溶けてしまい幻想的な景色は何処へ。
遠野の近く、花巻出身の宮沢賢治。
彼の描いた幻想的な理想郷イーハートーブは遠野の事だったのかな?